組合の管理・運営
組合の意思決定や業務の執行を行うための組織には、総会(総代会)、理事会等の機関が定められているほか、必要によって委員会などの任意機関を設けることもできます。一般的な組織は次のようなものです。
総会(総代会)は、組合運営等に関する基本的事項を決定し、その総会(総代会)の決定に基づき、理事会が業務の執行を決定します。そして、理事会の決定に基づいて代表理事が事務局を使って業務を執行します。また、監事は、決算関係書類などについて会計監査をします。
なお、任意機関である委員会・部会は、理事会等の諮問機関として理事会等が業務方針等を決定する際の参考意見を提供します。専務理事・常務理事は、代表理事の業務執行を補佐し、常務を行います。
総会
総会は、組合員全員で構成し、組合の基本的事頂を決定する組合の最高の意思決定機関です。また、総会の決定事項は、理事の業務遂行や組合員をすべて拘束しますので、組合の機関のなかでは最高の機関でもあります。
組合は、組合の活動が直ちに組合員の事業に結びついていますので、組合活動の最高の意思を決定する総会の決議は、組合員の利害に直接影響します。したがって、総会の運営は、形式的な審議にならないよう、十分議論を尽くすとともに、相互の意思疎通を図るよう努める必要があります。
総会の種類には、通常総会と臨時総会とがあります。通常総会は、毎事業年度1回定期に開催し、決算関係書類の承認を行うよう義務付けられており、通常、事業年度終了後2か月以内に開催し、事業計画・収支予算の設定等についても議決しています。臨時総会は、何時でも必要があれば開催できるもので、その招集手続きや運営等は通常総会の場合と同様です。
総代会
総代会は、総会(総代会)に代わって設けられる組合の最高意思決定機関であり、組合員の中から選挙された総代によって構成されるもので、組合員の総数が 200人を超える場合(企業組合と協業組合を除く)において、定款の定めるところにより設置することができる任意機関です。
総会(総代会)は組合の必要機関であり、これを欠くことはできませんが、総代会は任意機関とされており、組合員の総数が 200人を超える組合が、必要に応じて定款の定めをもって設置することができます。
総代会では、総代の選挙(補欠選挙を除く)をすることはできず、また、組合の解散、合併及び事業の全部の譲渡の議決を行うこともできません。したがって、総代会を設置したからといって、総会(総代会)がなくなるわけではなく、総会(総代会)を廃止することができないのは言うまでもありません。
総会(総代会)の権限
総会(総代会)は、組合員(総代)全員で構成し、組合の意思を決定する機関ですから、すべてのことを決定(決議)してもよいわけですが、しばしば総会(総代会)を開催するわけにはいきませんので、具体的な業務遂行の決定は理事会に委ね、基本的な事頂についてのみ決定しています。
具体的な総会(総代会)の議決事頂は、法律によって定められている事項(法定議決事項)と、定款によって任意に定める事頂(任意議決事頂)とがありますが、主なものは次のとおりです。
法定議決事項
- 定款の変更
- 規約の設定・変更・廃止
- 事業計画・収支予算の設定・変更
- 経費の賦課・徴収方法
- 組合員の除名
- 役員の選出
- 役員の解任
- 決算関係書類の承認
- 解散・合併の承認
- 組織変更計画書の承認
- 出資一口の金額の減少の決定
任意議決事項
- 取引金融機関
- 借入金残高の最高限度
- 1組合員に対する貸付金・債務保証残高の最高限度
- 加入金の額
- 手数料・使用料の率・額
- その他、理事会で必要と認める事項
総会(総代会)の開催及び運営方法
総会(総代会)の開催手続きや議決方法などは、法律に種々定められており、法律や定款に定められた方法によって行わなければなりません。
まず、総会(総代会)の招集は、会日の10日前(これを下回る期間を定款で定めた場合は、その期間)までに日時、場所及び会議の目的(議案)を組合員に通知(通常総会(総代会)の場合は、理事会の承認を受けた「決算関係書類」「事業報告書」及び「監査報告書」を添付しなければなりません)し、通常、代表理事が理事会の議決を経て招集します。
議案の議決方法は、通常は出席者の過半数で決します(普通議決)が、定款の変更など組織の基本に触れるような重要事項は、組合員(総代)の半数以上が出席し、その3分の2以上の多数で決します(特別議決)。協業組合の場合は、組合員全員が出席し、全員の同意によって決議する事項もあります。
なお、総会(総代会)の議事は、招集通知で予め知らせた議案について審議することのほか、定款で定めれば、緊急議案についても決議できますが、この場合は代理人は議決に加われません。
総会(総代会)終了後、議事録を作成し、主たる事務所に保管する必要があります。
理事会
組合の管理・運営等の基本的事項は総会(総代会)で決定しますが、具体的な業務の執行の決定は、理事会が担当します。
理事会は、理事全員で構成し、総会(総代会)で決定されなければならない事項を除いて、業務に関する一切の事項を決定する権限をもっています。
また、理事会で決定した業務を実際に行うのは代表理事ですが、代表理事が理事会の決定の通り正しく業務を遂行しているかどうかを監視することも、他の理事の重要な役割の一つとなっています。
なお、平成19年4月の法改正により、監事に対して理事会への出席と理事会議事録への署名又は記名押印が求められています(会計監査限定組合を除く)。
理事会の議決事項
理事会は、総会(総代会)の権限以外の業務に関する一切のことを決定する権限をもっていますが、理事会の議決事項としては、次のようなものがあります。
- 総会(総代会)において決定した業務の執行と執行細目の決定
- 総会(総代会)の招集と総会(総代会)への提出議案の決定
- 代表理事の選定(副理事長、専務理事等の選定を含む)
- 組合員の加入の承認(協業組合の場合は、総会(総代会)付議事項)
- 持分譲渡の承認(協業組合の場合は、総会(総代会)付議事項(組合員以外))
- 理事の自己契約等の承認
- 委員会など理事会の諮問機関等の承認
- 参事・会計主任の選任・解任
- その他
理事会の開催及び議事運営
理事会は、必要に応じ何回でも開催できます。理事会の招集は、原則として会日の1週間前までに全理事及び監事(会計監査限定組合を除く)に通知して行いますが、全理事及び監事(会計監査限定組合を除く)の同意がある場合は、この招集手続きを省略することができます。また、招集は通常、代表理事が行います。
理事会は、理事の過半数の出席によって成立し、その議事は、出席者の過半数の賛否によって決します。なお、理事会の場合は、書面によって議決に加わることは認められますが、代理人の出席は認められません。
理事会の議長は、総会(総代会)の場合と異なり、議決に加わることはできますが、可否同数の場合の決定権はありません(可否同数の場合は、その議案は否決されたことになります)。
なお、理事が議案と利害関係をもっている理事は、その議案の議決に加われません。理事会終了後は、議事録を作成し、主たる事務所に保管する必要があります