5月15日、愛知県のトップをきって岡崎市の甲山中学で和装教育が始まった。これは岡崎呉服協同組合が5月7日のあいちきものネット発足を受け、その翌日、岡崎市教育委員会に出向いてお願いにいったところ、とんとん拍子に話がまとまり、モデル校として甲山中学が指定されたもの。担当教諭は家庭科担当の三浦みどり先生で対象は3年生。呉服組合の谷理事長によると、始めは浴衣の着付けを中心に考えたが、やはり自分の手で縫うべきという意見に傾き、岡崎和裁組合の加藤組合長が全面的に協力してもらえることになって実現の運びとなったとのこと。
授業は毎週水曜の午後2時間を使い、10回計20時間の予定。この時間割は「岡崎の花火大会でこの浴衣を着る」という目標と連動したものだが、これ以上長くても現代っ子たちの気持ちが持続しないのではという配慮も働いた結果だという。浴衣地については、呉服組合が卸の協力も受けごく安価に提供することになったが、柄を選んだのは子供たちという。
15日の初授業には人の4人の男子も交えた26人が臨んだ。まず同組合役員が、女生徒4人に浴衣を着せたファッションショーで和装の魅力をアピール。市内で活躍するプロ和裁士の運針が披露されると、「手の動きが速すぎて針が見えない」と驚きの声が上がった。――とは翌日の新聞記事。
5月15日に始まった岡崎・甲山中の第2回和装授業を拝見した。教室である被服室には「岡崎大花火大会には自作の浴衣を着ていこう」との合言葉が大きく掲げられ、生徒の雰囲気も意欲的。この日は呉服組合から1人、和裁組合から3人の助っ人が参加して進められた。
この日の課題は、袖部分の裁縫。計20時間という制約、針を持ったこともないと子供が大半ということから、和裁組合であらかじめ生地の裁断を済ませてあり、それをミシンで縫製するという段取りであった。しかし、それぞれに部分の名称を書いた紙を貼り付けて全体を把握させるのが精一杯で、縫製できたのは袖の一部となった。
呉服組合の加藤副理事長によれば、「この中で自分の浴衣を持っているのは4人」とか。しかし、それにしては、子供たちが選んだという生地はなかなかハイセンスで個性的。ある男子生徒の白絣などは現代っ子らしからぬ渋さが光っていた。
指導の三浦先生は、20時間という短期間用のモデルカリキュラムがないのが難点。できれば今回の試行錯誤を生かしながら関連業界の皆さんとも協力して補助テキストを作れればとの希望を話された。
家に帰って母に見せると、「すごいじゃん。きれいにできたね。」と言ってくれたのでよかったです。
初めはあの巻いてあるものから1着しか作れないことも知らなかったのが、先生たちのおかげであんなに早くじょうずに作れました。手ぬいで大変だった時手伝ってもらったり、いっしょにおしゃべりをしたり、とても楽しい時間がすごせました。着付けも教えてもらったので、自分でがんばって着てみようと思います。
そでなど、部分的な細かいところがすごくむずかしくて、上手にできるか不安でしたが、いろいろな先生方の協力で、ゆかたを完成させることができ、とてもうれしかったです。
初めに2千円で浴衣が作れるということで、本当にうれしく思いました。それに実際に「プロの技」も見れて感動しました。
着ることは、ただ着るだけでとても簡単そうだと思っていたけど、実際に着てみると、けっこう難しかった。おびの結び方もいろんなのがあって覚えるのが大変だなぁと思いました。初めて自分で作ったゆかたを着てみて自分にピッタリのサイズで色も柄もかわいかったので、これからどんどん着たいと思っています。
花火大会にはこのゆかたを着て、ぜひ友達と一緒に行きたいです。