鋳造における木型は 日本においては
奈良時代の仏像製作に端を発していたと考えられます。
その需要は非常に少なく鋳物師や大工の兼業として
細々と行われていました。
江戸時代には 梵鐘や鍋釜の製作に「ひき型」と呼ばれる木型が
使用されるようになりました。

文久3年(1863)頃 幕府によって作られた造船所で
当時の大工や指物師・建具職
鋳造用木型を製作したのが 木型産業の始まりと伝えられています。

明治9年(1876) 横須賀造船所に20余名の木型工が従事したという
記録があり その後 産業革命が起り 急速な金属機械の発達や
汽車の開通 鋳鉄管の普及など鋳物の量産に伴い
木型の需要が増大しました。

現在では より複雑化する機械産業に呼応する形で、
鋳物木型のみに限らず、治具やモデル型など多種多様の物
作り出しています。
それに伴い材料や加工方法が変化しています。


最近は、多種類の製品を製作(検索ページ参照)することが多くなってきましたが。
ここでは昔から製作している鋳造用木型をご説明いたします。

花器(鋳造品)の完成品です。

この花器を作るには
木型が9個必要です。
型は大まかには
主型(おもがた)と
芯取の2種類があります。
『主型』(おもがた)と呼ばれる木型です。
製品の本体となる形を作ります。
芯取が入る主型(おもがた)には巾木(はばき)と云う芯取を固定する場所に作ったりもします。
主型(おもがた)は製品の形によっては分割出来るように製作します。
製品がどうしても上手く二つに割れないときに分割する事が多いです。
*砂型から抜けないとき
『芯取』とよばれる木型です。
製品の中が中空の場合や 主型で表現の難しい箇所(肉厚が薄い等)に使用される補助木型です。
この型に砂(鋳物用の砂)を入れ固めて主で作った砂型に収める事により中空や薄い箇所を砂型に作り出せます。

1 上皿の場合 3段にして砂型を取る。
2 木型を取ると 主型の形で砂型に中空が出来る 。
3 芯取で砂型を作っておく。
4 上記3で作った砂型(芯取)を 2の砂型に収める。
5 主砂型と芯取を収めた砂型は 製品通りの「隙間」が出来る。
6 湯口とあがりを作り 湯を入れる入り口と出口を作る 。
7 砂型の「隙間」に 湯と呼ばれる金属を流し込む。
8 金属が冷えたら 湯口・あがりやバリを切り取ると木型と同じ形をした製品が出来る。
*金属には鋳鉄・アルミ・ほう金などがあります。