省エネ法とは |
平成21年春号 |
(1) |
省エネ法とは |
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エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)は、石油危機を契機に1979年(昭和54年)に制定されました。省エネ法は、内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、工場・事業場等についてのエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置等を講ずることとし、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。
●改正前の設定基準●
燃料・熱・ガス・電気などのエネルギーを一定規模以上使用する工場・事業場は、その年間のエネルギー使用量(原油換算値)を工場・事業場ごとに国へ届け出て、エネルギー管理指定工場の指定を受けなければなりません。
3,000㎘以上/年:第一種エネルギー管理指定工場
1,500㎘以上/年:第ニ種エネルギー管理指定工場
●義務●
エネルギー管理指定工場は、エネルギー管理者やエネルギー管理員の選任、エネルギーの使用の状況等の定期報告書や中長期計画書の提出、設備ごとのきめ細かな現場でのエネルギー管理を工場・事業場単位で行うことが義務付けられます。 |
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改正前 工場事業場単位の法体系
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(2) |
今回の主な改正のポイント |
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●指定基準の改正●
○工場・事業場単位から企業単位へ
今回の改正では、これまでの工場・事業場ごとのエネルギー管理から、企業全体での管理に変わります。したがって、企業全体(本社、工場、支店、営業所など)の年間のエネルギー使用量(原油換算値)が合計して、1,500㎘以上であれば、そのエネルギー使用量を企業単位で国へ届け出て、特定事業者の指定を受けなければなりません。
○特定連鎖化事業者も新たに規制の対象となり得ます。
コンビニエンスストア等のフランチャイズチェーンも同様に事業全体でのエネルギー管理を行わなければなりません。フランチャイズチェーン本部が行っている事業について、約款等の取り決めで一定の要件を満たしており、かつ、フランチャイズ契約事業者(加盟店)を含む企業全体の年間の合計エネルギー使用量(原油換算値)が1,500㎘以上であれば、フランチャイズチェーン本部がその合計エネルギー使用量を国へ届け出て、特定連鎖化事業者の指定を受けなければなりません。
●報告書等の提出単位の変更●
エネルギー管理指定工場の義務のうち、定期報告書、中長期計画書の提出が従来の工場・事業場単位での提出から企業単位での提出に変わります。
●エネルギー管理統括者等の創設●
エネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者(エネルギー管理統括者を実務面で補佐
する者)をそれぞれ1名選任し、企業全体としてのエネルギー管理体制を推進することが義務
付けられます。
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改正後 企業単位の法体系
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(3) |
企業全体でのエネルギー使用量の把握 |
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●企業全体でのエネルギー使用量の把握●
今回の改正に伴い企業全体でのエネルギー使用量の把握に努めていただく必要があります。
●エネルギー使用量データの記録●
エネルギー使用量は平成21年4月から1年間記録する必要があります。下記フロー図のとおり、企業全体での年間の合計エネルギー使用量(平成21年4月〜22年3月まで)を正確に把握し、1,500㎘以上であればエネルギー使用状況届出書を平成22年度に管轄の経済産業局へ届け出なければなりません。
○年間のエネルギー使用量が1,500㎘以上となる事業者の目安
小売店舗 |
約3万m²以上 |
オフィス・事業所 |
約600万kWh/年以上 |
ホテル |
客室数300〜400規模以上 |
病 院 |
病床数500〜600規模以上 |
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|
コンビニエンスストア |
30〜40店舗以上 |
ファーストフード店 |
25店舗以上 |
ファミリーレストラン |
15店舗以上 |
フィットネスクラブ |
8店舗以上 |
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【注意】 事業所の立地条件(所在地、等)や施設の構成(例えば、ホテルの場合ではシティホテルとビジネスホテル、病院では総合病院と療
養型病院)等によってエネルギーの使用量は異なります。あくまで一般的な目安として例示したものです。
●ポイント●
(1) |
平成21年4月から1年間、すべての工場・事業場のエネルギー使用量(原油換算値)を把握してください。 (例:電気・ガスについては、毎月の検針票に示される使用量を把握) |
(2) |
エネルギー使用量を原油換算値へ換算してください。 |
1. |
使用した燃料・熱・ガス・電気ごとに全社の年間の使用量を集計してください。 |
2. |
1.の使用量に燃料の発熱量、熱の係数、電気の換算係数を乗じて熱量(GJ)を求めた後合計して年間に使用したエネルギー量(熱量合計、GJ)を求めてください。 |
3. |
2.の年間の使用熱量合計(GJ)に、0.0258(原油換算㎘/GJ)を乗じて年間のエネルギー使用量(原油換算値)を求めます。 【備考】 事業所ごとに各月1.〜3.を行い事業所ごとのエネルギー使用量を求めてから合計する手順もあります。 |
※ |
燃料の発熱量、熱の係数、電気の換算係数の具体的数値、集計用の簡易ツール(右図の簡易計算表)は下記URLを参照してください http://www.eccj.or.jp/law06/xls/03_00.xls |
(3) |
合計が1,500㎘以上の場合は、平成22年度に経済産業局へ届け出てください。 |
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エネルギーの種類 |
使用量 |
換算係数 |
単 位 |
数 値 |
熱量GJ |
数 値 |
単 位 |
燃 料 及 び 熱 |
原 油 |
㎘ |
0 |
|
38.2 |
GJ/㎘ |
原油のうちコンデンセート(NGL) |
㎘ |
0 |
|
35.3 |
GJ/㎘ |
揮発油(ガソリン) |
㎘ |
0 |
|
34.6 |
GJ/㎘ |
ナフサ |
㎘ |
0 |
|
33.6 |
GJ/㎘ |
灯 油 |
㎘ |
0 |
|
36.7 |
GJ/㎘ |
軽 油 |
㎘ |
0 |
|
37.7 |
GJ/㎘ |
A重油 |
㎘ |
3,308 |
129,342.8 |
39.1 |
GJ/㎘ |
B・C重油 |
㎘ |
0 |
|
41.9 |
GJ/㎘ |
石油アスファルト |
t |
0 |
|
40.9 |
GJ/t |
石油コークス |
t |
0 |
|
29.9 |
GJ/t |
石油ガス |
液化石油ガス(LPG) |
t |
0 |
|
50.8 |
GJ/t |
石油系炭化水素ガス |
千m³ |
0 |
|
44.9 |
GJ/千m³ |
可燃性 天然ガス |
液化天然ガス(LNG) |
t |
0 |
|
54.6 |
GJ/t |
その他可燃性天然ガス |
千m³ |
0 |
|
43.5 |
GJ/千m³ |
石 炭 |
原料炭 |
t |
0 |
|
29.0 |
GJ/t |
一般炭 |
t |
0 |
|
25.7 |
GJ/t |
無煙炭 |
t |
0 |
|
26.9 |
GJ/t |
石炭コークス |
t |
0 |
|
29.4 |
GJ/t |
コールタール |
t |
0 |
|
37.3 |
GJ/t |
コークス炉ガス |
千m³ |
0 |
|
21.1 |
GJ/千m³ |
高炉ガス |
千m³ |
0 |
|
3.41 |
GJ/千m³ |
転炉ガス |
千m³ |
0 |
|
8.41 |
GJ/千m³ |
その他の 燃料 |
都市ガス 13A |
千m³ |
2,993 |
134,685.0 |
45.0 |
GJ/千m³ |
|
* |
0 |
|
|
GJ/* |
|
** |
0 |
|
|
GJ/** |
産業用蒸気 |
GJ |
0 |
|
1.02 |
(換算係数) |
産業用以外の蒸気 |
GJ |
0 |
|
1.36 |
温 水 |
GJ |
0 |
|
1.36 |
冷 水 |
GJ |
0 |
|
1.36 |
|
|
0 |
|
|
|
0 |
|
|
小計(1) |
|
/ |
264,027.8 |
6,811.9 |
|
電 気 |
一般電気 事業者 |
昼間買電 |
千kWh |
14,916 |
148,712.5 |
9.97 |
GJ/千kWh |
夜間買電 |
千kWh |
5,314 |
49,313.9 |
9.28 |
GJ/千kWh |
その他 |
上記以外の買電 |
千kWh |
0 |
|
9.76 |
GJ/千kWh |
自家発電 |
千kWh |
( ) |
/ |
|
GJ/千kWh |
小計(2) |
千kWh |
20,230 |
198,026.4 |
|
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合 計 GJ〔(3)=(1)+(2)〕 |
462,054.2 |
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原油換算 ㎘ |
11,921.0 |
0.0258 |
㎘/GJ |
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