本来、食肉は生鮮食品ですから、買ったらなるべく早く調理するのが、おいしく味わう最良の方法です。 しかし、最近ではフリーザー付の冷蔵庫の普及とともに、まとめ買いするなど、家庭での長期保存をする方法が多くなっています。 一口に、肉の保存期間といっても、肉の種類やその形態によって、かなりの差があります。 水分を多く含んでいる肉ほど保存期間は短いものです。 肉の種類でいいますと、牛肉が最も水分が少なく、豚肉、鶏肉の順になります。
1.お肉の形によって、保存期間も異なります。
保存期間は、かたまりのブロック状態、切り身(厚切り)、角切り、スライス(薄切り)、ひき肉の順で短くなります。
2.空気に触れさせないのが、保存のコツです。
肉は栄養が豊富なため空気中の雑菌やカビ類にとって絶好の培養温床といってよいでしょう。 ですから買った肉は、すぐにラップ材などできっちり包んで空気を遮断し、更に密閉容器に入れて冷蔵庫に保存するのが肝心です。 しかし、このような厳重な保存管理をしていても、家庭用冷蔵庫での肉の風味を損なわない保存期間は、牛肉なら3〜7日位、豚肉で2〜4日位です。
3.冷凍保存の場合も酸化と水分蒸発には注意!
肉は冷凍状態でも脂肪やタンパク質の酸化が進み、その分だけ風味も落ちます。 また、フリーザーは冷蔵庫よりも水分の蒸発が活発です。 水分が蒸発しますと、肉に含まれる肉特有の芳香もともに揮発してしまいますので、風味が損なわれることになります。 乾燥状態になりがちなフリーザー内での保存には、冷蔵庫内の保存と同様に、空気に触れないようにラップ材で密封し、更にポリ袋などに入れて空気を抜くようにして下さい。 包装を2重3重にするのは、冷凍状態となるラップ材だけでは破れやすくなるからです。
4.低温維持−冷蔵庫のドア開閉も計算のうち
肉に付着した雑菌やカビ類の増殖を食い止めたり、その繁殖活動を緩慢にするためには、肉を5度以下の低温で保存しなければなりません。 一般家庭の冷蔵庫は、とかくドアの開閉が頻繁で、冷蔵庫内の冷気が外に流れ出しがちです。 5度以下という低温維持を心がけ、冷蔵庫に入れておけば安心...という考え方はやめましょう。
5.長期保存なら冷凍保存です。
冷凍保存の適温は、マイナス30度が望ましいのですが、家庭用のフリーザでは、せいぜいマイナス10度位です。 家庭での冷凍保存の場合、1ヶ月ほどの期間なら、肉の風味もそれほど損なわれずに済むでしょう。
6.1回使用分の単位で小分けするのが原則です。
家庭で肉を冷凍する場合は、1回で使い切れる単位でまとめるのが原則です。 薄切り肉の場合は、面倒でも1枚ずつはがして、薄切り肉の間にラップ材をあてておくと便利です。 ひき肉の場合は、特に1回に使う分量にして、なるべく平たい状態にして包装しましょう。 平たくしておきますと、凍結時間も早く、また、解凍のときも短時間で済みます。
7.調理後の冷凍保存が長期保存に最適です。
肉は加熱すると雑菌やカビ類は殆ど死滅し、肉の変質は止まります。 また、調理の時に使われる調味料や香辛料は、調理後の雑菌の寄生や繁殖を抑えますので、調理後の冷凍保存が長期保存に最適です。 特に変質のスピードが早いひき肉などは、調理してからの保存が適しています。
8.市販の冷凍肉の取り扱い方
最近は、きちんと包装された冷凍肉が多く出回っています。 フリーザのスペースが広く使える場合は、種々の部位の冷凍肉をとりまぜて保存しておきますと便利です。 しかし、家庭用の冷蔵庫のフリーザーでの賞味期間としての保管は、1ヶ月位として下さい。
冷凍肉を解凍する時は、なるべく低温で3〜4時間かけて解凍して下さい。 いきなり水やお湯につけるのは避けて下さい。 例えば、夕食に使用する場合には、朝のうちから冷蔵庫に入れておくと、肉汁が徐々に解けますので、肉の旨味や風味が損なわれません。 半解凍状態で調理するのが望ましく、指で押してみて内部が少し凍っている位が適当です。
冷凍肉は、店頭で解凍されて販売している場合があります。 このような肉は、早めに調理して食べて下さい。 再凍結は著しく風味を損ないますので、禁物です。