1. と畜検査
    食肉の生産は、家畜を一定期間飼育する事から始まります。 と畜場へ食肉とされる家畜が搬入される場合は、適切な飼育管理により健康で なければなりません。 しかし、家畜は病気にかかったり、外傷を受けたりします。 当然これらの疾病は治療し健康な家畜となってから、と畜 に出荷されるわけですが、中には治療中のもの、輸送途中に発病したものなど、食用として不適なものが、と畜場に搬入される場合があります。 これら食品として不適なものを排除するのが、と畜検査です。 都道府県の多くは、と畜場に食肉衛生検査所を設け、この業務にあたっています。 食肉衛生検査所には、知事(市長)から任命された獣医師である と畜検査員が配置され、食肉の目的で、と畜される家畜を1頭毎に全頭検査します。

  2. 食肉中の有害化学物質の残留検査
    食肉中には、有害な微量の化学物質が残留している可能性があります。 病気の治療に使われる抗生物質や飼料に残留している農薬がその例です。 抗菌性物質の残留は薬剤耐性菌を作る可能性があると言われていますし、農薬の残留は慢性毒性や発ガン性の問題が言われています。 抗菌性物質 については、病畜やと畜検査の時点で治療した形跡のある家畜については抗菌性物質残留の検査、また、牛・豚の抗菌性物質残留のモニタリングも 行っています。 農薬については、モニタリング検査により実態把握を実施しています。

  3. 微生物汚染の防止
    食肉は、生産されたものが消費者の手に渡るまでに、生体から枝肉、更に部分肉と形を変え、更に精肉の形になって流通します。 この段階に おいて、それぞれ特別の技術を持った人々が、よりよい食肉を消費者の食卓に届けるために仕事に携わっています。 しかし、最初に枝肉が細菌で 汚染されていると、加工のたびに汚染が拡大され衛生的な食肉の供給は望めません。 そこでサルモネラやリステリアなどの病原細菌の検査を行い、 食肉への汚染防止に努めています。 また、と畜場内での枝肉の細菌汚染を極力押さえるために、と畜場の管理者に対して衛生的な施設への改善 指導、と畜作業従事者に対する衛生指導、枝肉の衛生的な取り扱いや保管の監視指導を行い食肉の安全性の確保に努めています。