よいお肉というのは、適度の赤色でつやのよいものを指します。肉が店頭のウインドーケースの中に入っている場合は、 照明によって実際の色が幾分脚色されています。赤味がかった照明の場合は、多少割り引いて判断しましょう。プリパッケージのものは、手に取り、ケースの外に出してよく見ることを心がけましょう。
牛肉の場合は、つやのある鮮紅色が良い肉です。これも時間が経つにつれ酸化作用が進みますと、だんだん暗赤色になっていきます。但し、切り身やスライス肉を買った時、肉の重なり部分が黒ずんでいることがありますが、これは空気に触れていなかった部分で、酸化による発色が起きていないものですから、心配はいりません。
食肉にする適齢の牛肉は鮮紅色が目安ですが、濃い赤色のものは、老齢の牛のものと考えられ、色が薄いものは、反対に若齢の牛の場合が多いようです。乳用雄の肥育牛は、和牛に比べて飼育期間が短いので、この傾向があります。
よい豚肉の色は淡灰紅色、文字通り、淡いやや灰色がかかったつやのある美しいピンク色が最上です。処理した後、時間がかなり経過しますと、ピンク色があせてくるか、灰色が強くなったりという変化が見られます。
肉に含まれる脂肪は、肉の風味を引き出す大切な要素です。脂肪の 中には、揮発性の芳香成分が含まれていて、この成分が肉特有の食欲を促すようなよい香りとなります。最近では、脂肪の少ない赤味の肉が好まれるようですが、お肉を美味しく食べるためには、適度な脂肪が必要です。
牛肉の脂肪は、色でいうとつやのある白色または乳白色がよいものです。脂肪のつき方では、筋肉の中に入るものと、皮下脂肪としてつくものがあります。細かく筋肉の中に入っているものを、霜降り肉と呼びます。ロース、かたロース、サーロインなどの部分に多く見られ、最上の肉とされます。牛の種類では、和牛に霜降りになりやすい特性を持っています。
豚肉の場合も牛肉と同じように白色または乳白色で、適度に粘りのあるものがよい脂肪で、よい脂肪がついた豚肉は餅豚と呼ばれ、香り、味ともに最高級とされています。
きめとは、肉の組織の一番小さな繊維の集まりです。部位によってもきめの状態は異なりますが、肉の柔らかさをみるのに欠かせないものです。運動量の多い部分はきめも粗く、少ない部分はきめも細かく、柔らかです。柔らかさを判断するには、肉の断面を手で触っても分かります。きめ細かで最上とされるヒレの部位は、ビロードのような滑らかな感触を与え、かた、ばらなどは、断面がザラザラしているものです。しかし、きめが粗い肉はゼラチン質やエキス分が豊富に含まれていますので、煮込み料理やスープ材料としては最適の部位になります。