中小企業のための環境 ISO ガイド

第6章 審査登録のすすめ方

 審査登録のすすめ方について順を追って、説明します。

1. 登録範囲などの決定

 ISO14001 規格の審査登録の申込時には、どういう範囲で登録するのかを決める必要があります。登録をする組織の ISO14001 規格が及ぶ範囲を明確にすることで、次の2点を明らかにします。

  1. 地理的な範囲
  2. 活動、製品及びサービスの範囲

2. 申込・受付

 登録範囲が決まったところで依頼をすると、見積が行われます。審査登録機関の所定の様式に従って、組織の規模、業態等の情報を提出すれば、約3〜4週間で、審査登録に必要な費用の見積と審査範囲、審査方法や期間についてのプロポーザルを入手できます。プロポーザルに同意できれば、契約することになります。

3. 審査登録の前提条件

 次は、審査機関とコンタクトをとって、実際の審査の日程や費用などを確定する段階ですが、審査登録がいつでも可能ということではありません。審査を申請する場合、組織が運用しているEMS は以下のような一定の条件を満たしていることが必要となります。

  1. 組織の EMS が運用されてから3ヶ月以上経過していること。
  2. ISO14001 の要求事項である内部監査が実施済みであること。
  3. 経営者による見直しが実施されていること。
  4. 法規制の許認可申請等の手続きが完了していること。

4. 予備審査

 予備審査は、組織の構築した EMS が本審査にかなうものであるかどうかを判定するものです。組織の EMS を構築するに至った背景、予備環境影響評価、EMS 構築のプロセスの論理性などに重点をおいて審査されますので、審査員に対してこれらのことを明確に、かつ、体系的に説明できるように準備します。

5. 書類審査

 予備審査の後、組織の環境マニュアル、組織図、生産工程図、工場配置図、環境方針、環境目的および目標、環境側面から重大環境影響項目摘出の手順、環境マネジメントプログラム、主要な手順書などの書類を、審査機関に提出して、書類審査を受けます。審査機関によっては、予備審査の前に、環境マニュアルなどの書類の提出を求める場合があります。

 書類審査は、通常1ヶ月程度かかると考えておくとよいでしょう。

 予備審査を受けるまでは、審査とはどんなものなのかわからないものですから、いろいろと不安がありますが、これを通過するとコツがのみこめてきて、認証取得活動も加速化するものです。その最初の関門である予備審査の受け方について以下に示します。

1. 予備審査のポイント

 予備審査では、組織の EMS を構築するにいたった背景、予備環境影響評価、EMS 構築のプロセスの論理性などに重点をおいて審査されるので、審査員に対してこれらの事項を明確に、かつ、体系的に説明できるように準備します。

 通常、予備審査は、審査登録機関の審査員の事業所への訪問から始まります。トップマネジメントや環境管理責任者との面談、事業所や工場の視察から、審査員はその組織の操業の概要を把握しようと努めますので、次のような資料の提示が有効です。これらの資料は、組織の予備環境影響評価で使用された基礎資料であり、これを分類整理したファイルを作成しておきます。

2. 予備審査では何を聞かれるか?

 予備審査の目的は、組織の EMS が本審査に耐え得るように構築されでいるかを検証することにあります。そのためには、基礎資料がしっかりしていて、この上にシステムが構築されていることを良く確認する必要があります。いいかえれば、審査員は、ここに重点をおいて質問を投げかけることになります。

 EMS 審査では、要求事項の 4.1 から 4.6 まで順番のとおりに質問されるとは限りません。それぞれの項目が密接に関連し合っているので、質問も順番とは関係なく、論理的なつながりで投げかけられてきます。

3. こんなことを聞かれる

 なお、審査時における審査員の質問は、システムの欠陥等についての指摘ではありません。どのような質問であるかを、十分に理解して、適切な回答を返すようにしましょう。指摘事項は、審査の最終会議で発表されます。予備審査の指摘事項は、通常、20から30件あると考えたほうがいいでしょう。この段階では、どの指摘が重であるか軽微であるかの判断は示されないのが普通です。指摘事項は本審査までのインターバルの間に是正して、本審査に備えます。また、本審査との間に書類審査がある場合には、指摘事項を是正して書類を改訂し提出します。

4. 審査側から見た審査の内容と目的

  1. 審査の内容
    1. 文書を審査する。追加文書審査(必要がある場合)及び第2段階審査のための資源を計画し、配分する。さらに第2段階審査のチームに必要とされる能力が用意できるかを検証する。
    2. 必要な情報を収集し、第2段階審査の際に特に注意が必要な課題を明確にする。
    3. 組織に情報をフィードバックする機会を用意する。
    4. 第2段階審査の詳細について組織と合意する。
  2. 審査の目的
    1. 環境側面と環境影響、環境方針及び目的の観点からその組織の EMS を理解する。
    2. 審査に対する準備状況を把握し、第2段階審査の立案をする際の焦点を絞る。
    3. 準備状況を把握する際は次の点に着目する。
      • 環境側面の特定とそれに続く著しい環境側面を決定するプロセスが適切か
      • 法律等で定められた操業許可等のライセンスを取得しているか
      • EMS が環境方針を達成するように設計されているか
      • EMS の実施プログラムから判断して第2段階審査に進めるか
      • 内部監査が規格要求事項に適合しているか
      • 第2段階審査前に審査を要する追加文書、又は知っておくべきことは何か

5. 被監査者の果たすべき役割(規格 ISO14011より)

 被監査者の責任と活動は、次の事項を含むのがよい。

  1. 必要に応じて監査の目的と範囲を従業員に通知する。
  2. 効果的かつ効率的な監査プロセスを確実に実行できるよう監査チームが必要とする設備を提供する。
  3. 監査チームのメンバーに同伴し、現場に案内し、また、監査チームが健康、安全及びその他の必要な注意事項に確実に気づくようにさせるために、責任ある有能なスタッフを指名する。
  4. 監査員が要求する設備、要員、関連する情報及び記録に接することができるようにする。
  5. 監査目的を達成させるよう監査チームに協力する。
  6. 監査報告書の写しを受領する。ただし依頼者によって特に許可されない場合を除く。

6. まとめ〜予備審査を受けるに当たっての心構え〜

  1. 予備審査を有効活用する、という気持ちで臨むこと。
  2. やりすぎの防止と漏れの発見。
  3. 審査員に協力して、よく見てもらうこと。
  4. 環境方針ぐらいは覚えておく。あるいはメモを持っておく。
  5. 応対をする人は、文書・記録類の所在を頭に入れておく。
  6. 指摘事項はたくさん出してもらった方が、いいので、気楽に臨む。

6. 本審査(登録審査)

 予備審査実施後2ヶ月程度で、受審する組織の敷地内で、本審査が行われます。本審査の目的は、下記の通りで、EMS の運用状況のチェックに重点が置かれます。

  1. EMS が規格の全ての要求事項に適合していることの確認
  2. 方針、目的、手順を守っているかの確認
  3. 方針、目的を達成しつつあるかの確認

 本審査の結果、重大な不適合がなかった場合は、審査チームのリーダーから、審査機関の判定委員会に推薦されることになります。そして、最終的には判定委員会により、適格かどうかの判定が下されます。

7. 登録証の発行とその後の維持審査及び更新審査>

 判定委員会の決定を受けて、審査登録機関は、審査を受けた組織に対して登録証を発行します。

 有効期間は3年間で、認証を維持するためには審査機関による維持審査を受審する必要があります。6ヶ月に1度(又は1年に1度)の頻度で維持審査が行われ、3年に1度の頻度で更新審査が行われます。

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