中小企業のための環境 ISO ガイド

第3章  ISO14000 シリーズの基本的な考え方

 ISO14000 シリーズにおける基本的で重要な考え方について以下に述べます。

1. デミングサイクル

 ISO14001 規格は、「4.2 環境方針」に続いて「4.3 計画」、「4.4 実施及び運用」、「4.5 点検及び是正処置」、「4.6 経営層による見直し」という順で構成されています。これは、Plan(計画)−Do (実行)−Check(点検)−Action(見直し)のデミングサイクルそのものです。ISO14001 の求めるマネジメントシステムでは、このサイクルの手順を踏むことを求めています。

デミングサイクル
デミングサイクル

2. 環境側面と環境影響

 「環境側面」と「環境影響」は、耳慣れない言葉ですが、ISO14001 独特の用語で、次のように定義されています。

環境側面(environmental aspect)
 環境と相互に影響しうる、組織の活動、製品又はサービスの要素。
環境影響(environmental impact)
 有害か有益かを問わず、全体的に又は部分的に組織の活動、製品又はサービスから生じる、環境に対するあらゆる変化。

 ISO14001 では、「組織が環境に影響を与えること」を、環境側面と環境影響に分解して、組織と影響を与える対象との関係をはっきりさせています。環境側面は組織が持っている要素であり、その要素が対象に環境影響を及ぼすのです。

 具体例で説明すると、工場から廃液を排出して、その結果、川の水が汚染されたとすると、環境側面は「排出」で、環境影響は「水の汚染」ということになります。

 そして、ここで重要なのは「組織が管理できるのは、環境影響そのものではなく、環境側面なのだ」ということです。

環境側面と環境影響
環境側面と環境影響

3. 継続的な改善

 ISO14001 では、継続的改善に関する約束を含んだ環境方針を定めることを要求していますが、「継続的改善」を次のように定義しています。

継続的改善(continual improvement)
 組織の環境方針に沿って全体的な環境パフォーマンスの改善を達成するための環境マネジメントシステムを向上させるプロセス。

 この定義では環境マネジメントシステムの向上に触れていますが、環境マネジメントシステムの改善のみが、継続的な改善の目的ではないようです。より高い目標は、全体的な環境パフォーマンスの改善にあると、考えるべきでしょう。したがって、継続的な改善とは、究極的には環境パフォーマンスの改善であるべき、だといえます。

 ここでいう、「環境パフォーマンス」とは、環境マネジメントシステムの結果のことです。具体的には、エネルギーの使用量を 20%削減する、等をいいます。

 つまり、ISO14001 では、その精神において、マネジメントシステムそのものの改善だけでなく、省エネや廃棄物削減といった成果も求めていると考えるべきなのです。

継続的な改善の概念
継続的な改善の概念